お茶会で2次形式論の類数の話をしました。
こんにちは。
ちゅんちゅんです 🐣
先日、大学の数学科でお茶会があり、いろんな学年の学生たちやいろんな分野の先生たちとお茶を飲みながら数学を語らいました。
そこで後輩たちに2次形式論の「類数」という概念について僕の知っている話をしました。
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
2次形式とは、整数 a, b, c と変数 x, y で
f(x,y)=axx+bxy+cyy
の形で表される関数のことです。
D(f)=bb-4ac とおき、この D のことを f の判別式と呼びます。
整数 d が与えられた時、D(f)=d となるような2次形式 f の個数を h(d) と書きます。
この h(d) のことを、類数といいます。
ところで、有理数 p, q を用いて p+q√d と表されるような数全体からなる空間を Q(√d) と書き、2次体と呼びます。
2次体の世界で整数のような概念を定義して、整数のような数全体からなる空間を Z[ω(d)] と書くことにします。
Z[ω(d)] の世界で素数のような概念を定義して、素因数分解のような構造を考えます。
じつは、さっき出てきた類数の概念は、Z[ω(d)] の構造と深く関係があります。
詳細は省略しますが、いい感じの性質をもつ整数のことを基本数と呼びます。
d が基本数の時、Z[ω(d)] が素因数分解の一意性の構造を持つための必要十分条件は h(d)=1 であることが知られています。
例えば、d=-4 の類数は h(-4)=1 であり、Z[ω(d)]=Z[√-1] は素因数分解の一意性の構造を持ちます。
(この Z[√-1] はガウス整数環と呼ばれています。)
このように、「類数」の概念は整数論の分野で非常に重要な概念のひとつです。
d<0 のとき、 h(d)=1 となるような d は 1966 年にすべて決定されました。
d>0 のとき、h(d)=1 となるような d は無数に存在するだろうと予想されていますが、2019年12月現在、未解決です (ガウス予想)。
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
最近僕はよく分からない分野のことばかりやっていて結構苦しみながら数学をしていたのですが、よく分かっている話を人に伝えるのは楽しくてストレス発散になりました 🌱
0コメント